*********


王都で流行り病の対応に追われるエドワードは、あわただしく飛び交う情報を常に頭で更新しつつ指示を飛ばし続ける。

情報集約の場所となった王城の議会室にて、何日も頭をフル回転させる状況は、さすがのエドワードも疲弊させていた。


(少し頭が重いか)


額をこんこんと拳で叩くエドワードに、まだまだ元気そうなルドルフが報告にやって来る。


「兄様、感染者の増加が止まりません」

「うん、もうダメだね。各領の行き来を全面禁止して。王都の感染を外に出さないように極力努力しよう」

「はい、最善を目指します」

「ゴホッ、ゴホッ、しかし国王様」


ルドルフが二つ返事をしたというのに、隣に立っていた蛙腹大臣が奇妙な咳と共に口を挟む。


「交易を封鎖してしまうと経済が滞ってしまいます」


エドワードがにこりと人を圧迫死させる笑みを、蛙腹大臣に押し付ける。


「健康じゃなければ経済なんてムダ。

金は生きててこそ使えるものだから、まず生きないとね?

何のために税金を貯めてると思ってるの?有事のためだよ。

今有事なのわからない?

そんな基本なこと、ここで説明する必要があるだなんて思わなかったけど?」

「は、はい……申し訳ございません」

「全面封鎖。迅速に、完璧に」