ザラの優しい笑顔と別れの挨拶の機微にエドワードが反応する。


迎えに回収されて馬車に乗せられそうになっていたエドワードが、迎えを振り切ってわざわざ玄関まで引き返して来た。


「なんじゃ?忘れ物か?」

「今さ、僕が帰っちゃうのちょっと寂しいって思ったでしょ!そういう顔したよね!僕そう言うの絶対見逃さないから!ちゃんと寂しいって言ってみて?!僕すごい喜ぶから!」


エドワードはザラから真実の愛認定のお預けをくらったので、欲しがりが発動してしまった。ザラの細い両肩に両手で掴みかかって、がくがく揺らすエドワードにザラは答えた。


「そなたのせいで、もろもろ台無しじゃ」

「なにそれ!情緒ちゃんとやって!そういうとこだよザラ!」

「そういうとこじゃぞ、エド」


そのまま去れば、ザラの心にちょっと乙女な感情を残せたというのにどっちが情緒だ……とに隣で全て見ていたジェニットは大いに嘆いた。