離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─



「して、ジェニット。今日は良い売れ行きだったの。ハミルトン領に帰ったら増産するぞ」


ザラが話を切り替えたので、ジェニットは即座に反応した。


「そうですね!これから長雨の時期なので、商品生産に力を入れられます」

「長雨?」

「ハミルトン領だけでモミ葉が育つのは、長雨があるおかげなんですよ!この長雨は情緒豊かでして、他の香草もぐっと育ちます」


人差し指を空に向かって突き立てたジェニットのハミルトン領自慢が始まって、ザラは目をぱちくりさせてしまった。


(長雨は、ちとやっかいじゃの……)


微笑を浮かべて話に相槌を打つザラの胸中を、ジェニットは知る由もなかった。