(こ、国王様にまで敬語を使わないだなんて……ザラ様って一体何者なのかしら)
ハミルトン領に覆面でやってきたアンドリュー君とエドワードが、同一人物だと一致しないジェニットは肝が冷えまくっていた。
「では、始めようかのジェニット」
「は、はい!」
ジェニットの心臓がドキバクしたまま貴族男子たちへの営業がスタートする。貴族男子たちの前に立つジェニットの笑顔が引きつっているが、その隣で義足のザラは堂々と椅子に座って足を組んでいた。
「こ、この度はお集まりいただきありがとうございます。今日ご紹介させていただくのはハミルトン領にて開発したモミ葉香水で」
香水の単語に、貴族男性陣が隣通し顔を寄せ合ってざわめく。
「俺たちに香水をつけろっていうのか?」
「珍しくルドルフ様が誘ってくれた会合だったから出てきたが」
「とんだ時間の無駄だな」
全く香水に興味のない勢が立ち上がると同時に、ザラがのっそりと立ち上がった。去って行こうとする男性陣に向かって、品よくにこりと笑ったザラの通る声が響き渡る。
「そなたたち、モテぬであろう?」



