エドワードは端麗な顔を美しく慈しみの形に整えて、褐色の手を握る。ザラはうんざりと息をついた。こいつは何億回同じことを繰り返せば気が済むのか。
「昨日離縁したばかりじゃが?」
「ハハッ、今度は法律じゃなくて、僕個人からの求婚だよ」
「我はリベルタ族の女じゃ。一族の掟通り、真実の愛を探す旅に出る」
「ザラの真実の愛って何?」
「それを探す旅じゃ」
エドワードはザラと交渉しようと、出せるものがあるのではと探りを入れる。これも数えきれないほどやった押し問答だ。
「リベルタ族はびっくりするくらい無欲だからね……宝石とか爵位とか欲しがってくれたらこっちもやりようがあるのに」
チッと舌打ちするエドワードを見飽きたザラはふっと笑う。エドワードのあきらめの悪さには、いい加減呆れてつい笑ってしまう。
リベルタ族は国王への強運を授けるという大役をこなす。
だが、その代わりに金も権力も爵位も何も望まない。
そのため、いまだに身分は平民だ。
リベルタ族は何よりも自由を望む。
国王にキスする離縁前提婚の見返りは自由。
つまり約束通りキスはするけど、後は放っておいてだ。



