ザラが思わせぶりなことを言い、プイッとそっぽ向くというエドワード至福の時間を過ごしていると、テラスにまで届く大声でジェニットの声が響いた。
「ちょっと!ヨハン待って!」
ひとまず商品開発を終えて立ち上がったザラたちが、テラスから玄関ホールを覗く。ジェニットが大声でムキムキ眼鏡の医師、ヨハンを呼び留めていた。
ヨハンの太い腕を捕まえたジェニットが声を張り上げる。
「どうして行かないなんて言うの?!良いお話じゃない!」
「俺はここにいたいんです、お嬢様。俺はハミルトン領を愛してます」
「それは嬉しいけど……でもヨハンのためには」
ザラの後ろから、騒ぎをにこにこ見守るエドワードがぼそっとザラの耳元で情報を補完する。
「たぶんルドルフが彼に王都に来ないかって誘ったんだよ」



