「離婚するのじゃ、夫様」


芯のある声で偉そうにザラが物申した。


王城の一室。


ソファで隣同士に密着して座る夫様に向かって、ザラが褐色肌の手で離縁書類を突き出す。


「いや、それは致しかねる!」


偉そうに座るザラに打って変わって柔和な笑顔の夫様、国王エドワードがきっぱりと拒否を示した。


ザラは眉間に皺を寄せ、豊かな黒髪を背に払って声を低くする。


「国王ともあろうものが、我との約束を違える気か?」

「国王だって私利私欲あるからね」


エドワードは真っ青の瞳を細めて微笑む。


「我は国のために義務を果たしただけじゃ」