侯爵令嬢井川なぎさは、婚約を破棄された。こんな私は悪役令嬢!そうしてなぎさは、魔王と婚約することとなった。
 なぎさは、トーセアイランドで侯爵令嬢として生まれた。黒髪、黒目であり、幼いころから気味悪がられた。黒髪、黒目は魔族(デモンズ)のほうがまだ多いのだ。父井川侯爵はトバ国トーセアイランドの領主であった。トーセアイランドのがけっぷちに屋敷があった。なぎさは、トバ国王太子と婚約したのだった。
 しかし、ヒロインが現れ、婚約破棄は破棄された。悪役令嬢のレッテルをはられたなぎさは、信じられない罵倒にあった。
 「性格ぶす」「性格ぶすが」「生きているのがおかしいんだ」「ヤンキー」「あんなヤンキー」
 なぎさは、八雲神殿へ父侯爵と行く。
 トーセアイランド、八雲神殿。神官がいた。
 「侯爵様」
 「うむ」
 侯爵となぎさは神官に連れられていった。やがて広い部屋に出た。大きい丸い鏡があった。
 「あれで、魔王スサノオ様と交信できるのです」
 なぎさと、侯爵は神官に連れられて、鏡の前に来た。それは等身大の大きい鏡だった。
 「なぎさ様、前にお立ちください」
 と、神官がいった。
 「みかがみよ、くにつのおおかみのみかがみとつながりたまへ」
 と、神官が唱えた。
 なぎさは怖かった。やがて鏡にうっすら人影が写った。なごさは、戦慄した。
 なぎさは眠りにつかされ、箱に入れられた。箱は魔法船アンドロメダに入れられ、トーセアイランドの東の海岸からはるか東にある魔族(デモンズ)の国、ねのかたす国に流された。
 そこで待ち受けていたのは魔王スサノオだった。なぎさは、スサノオのキスで目覚めた。なぎさの目の前には男性の顔が。男性の顔が離れた。男性は荒々しいがりりしい顔だちをしていた。黒髪のぼさぼさの長髪、切れ長黒目、漆黒のイケメンだった。
 「目覚めたか」
 荒々しい声だった。なぎさは震えた。
 「怖がることはない」
 優しい声だ。
 「俺の妃になる女に何もしやしない」
 と、男は言った。
 なぎさは魔族(デモンズ)に歓迎を受けた。そうして、王立学園へ・・・。