黒田チセは幼いころよりいろいろ見えていた。またいろいろ聞こえてきた。いろんな能力があった。
 大きい目、黒目勝ち。黒髪のショートヘア。前髪を垂らしていた。痩せていた。背は高かった。

 そうして野いちご学園高等部に入学した。同級生に橋本ここなという美少女がいた。淡い茶髪の髪の長い女の子だった。小柄なちょっぴり小太りのこだった。
 チセは「ウルフちゃん小説投稿サイト」というサイトで小説等投稿していた。
 チセはクラスで浮いていた。みんなに悪口を言われていた。
 特に女子に悪口を言われていた。
 「黒田さん、性格わるいよね」
 「髪の毛分けてるよね」
 「黒田さん、ウルフちゃんやってるらしいよ」
 「なんかいやだよねえ」
 「ウルフちゃんやってる人は何か持ってる人だよねえ」
 「ウルフちゃんやってる人は金持ちだよねえ」
 「ウルフちゃんから追い出そうよ」
 「だね」
 「ウルフちゃんから出ろよ」
 「ウルフちゃんやめろ」
 チセは黙って席についていた。後ろの方の席だ。
チセは髪をわけ、前髪を垂らしていた。紺のグリフィンのエムブレムのついたブレザーにリボン。チェックのスカートをはいていた。黒いタイツをはいていた。
 橋本ここなは、それらを聞いていた。
 ここなはポニーテールだった。大きなピンクのリボンをつけている。淡い茶髪だった。太い眉、大きい目、茶色い瞳。STARSIOのnoichigiーGのピンクの腕時計をしていた。
 橋本ここなはこぶしを握った。冷汗が出た。ここなは、チセの机に向かう。チセは本を読んでいた。
 「あ、橋本さんが、黒田さんの机に」
 と、女子。
 「ここなん、やさしいからなあ」
 と、男子。
 ここなは、笑顔を作った。
 「黒田さんw」
 と、橋本ここなは横からチセに話しかけた。チセはここなを向いた。ここなはチセを見た。チセは大きい目をしていた。
 「く、黒田さん、何読んでるの?」
 チセは読んでいる本の表紙を見せた。
 「黒魔術の本」
 と、チセはか細い声でいった。
 「く、黒魔術の本?」
 と、ここな。(うわ、気持ち悪い)とここなは思った。
 「ど、どんな?」
 と、ここなは恐る恐る聞いた。
 「悪魔の召喚とか」
 たちまちやじが起こった。
 「えええええええええ」
 「悪魔召喚!!!!!」
 「ぞーっとするわ」
 「鳥肌たった」
 「悪魔をおびき寄せるのか」
 「男の悪魔」
 「女の悪魔」
 「悪魔」
 「気持ち悪い」
 「召喚魔法かよ」
 「神じゃない」
 「神じゃなかったら、悪魔」
 「カルト教団本部」
 「ちょっと勘弁してよ」
 「いい加減にしろよ」
 「無理 」
 「そういうの無理」
 ここなはぎゅっとこぶしを握った。冷汗が出る。ここなは前を向く。
 「はあい、皆さん注目うw」
 ここながかわいい大きな声でいった。みんながここなに注目した。
 「黒田さんの呼ばわりが決まりましたあw」
 ここなは笑顔で、いった。
 「呼ばわり!!!!!」
 みんながいった。
 「なんだ、呼ばわりってなんだ」
 男子がいった。
 「はあい、皆さんお静かにw」
 と、ここな。
 みんながシーンとなった。
 「黒田さんの呼ばわりはあ、悪魔にぃ、決定えw」
 ここなが大きな声でいった。
 一瞬シーンとした。
 「悪魔」
 「悪魔」
 「悪魔」
 みんなが口々にいった。

 以来、チセはみんなに悪魔と言われるようになった。

 しかし、そんなチセにイケメンでモデルの高瀬帳君が声をかけてきたのであった。そうして高瀬君と友達になった。学園に入学して初めての友達だった。

 ある日、二人は不良に絡まれていた。そのとき生徒会長の東条朝都に助けてもらった。そのとき、生徒会長が暴走族の総長であることが発覚。
 朝都に暴走族の総長であることは黙っててくれと約束させられたのだった。朝都とも友達になったチセだった。