行くところなんてない。


親戚?そんなの知らない。


「サインしろ。」


先生はほんとに婚姻届を取り出した。


サイン、するしかないの?


でもしなかったら、私はこれからどうやって生きていけばいいんだろう?


働いてもない私が、一人で生活出来るの?


もしサインすれば、きっと私は普通の生活が出来る。


高校もちゃんと卒業して、もしかしたらその上の学校にだって行けるかもしれない。


先生の方を見ると、何を考えているか分からない顔をして、遠くの方を見つめていた。


フッと短く息を吐き、私は思い切ってボールペンを握った。


これからの為。


そう自分に言い聞かせて、私は震える手で婚姻届にサインをした。