「だって・・約束したのに。」


じわって、涙が流れそうになった。


「悪かった。」


「意味、わかってると思った。バレンタインだって。」


「だから、仕事だってメールしただろ。」


「わかってるよ。龍矢、忙しいの。だから、気にしないでってメールしたじゃない。」


やだ。


泣いても龍矢を困らすだけなのに。


なんか、止まんないよ。


「ごめんなさい。泣いてもしょうがないのわかってる。」


「美和。」


「せっかく龍矢のために作ったのに。ケーキ。お母さんの味、龍矢にも食べて欲しくて。」


涙も止まんないし、龍矢を攻める言葉も止まんない。


「悪かった。」


龍矢が私を抱きしめた。


「お前の気持ちを踏みにじってしまった。」