『もしもし?』
「もしもし、お母さん。茉夜だけど……」
『あぁ、茉夜。どうかしたの?』
いつも通りの声。
ううん、むしろ何か嬉しそう。
それだけ家族で外食したのが楽しかったのかな……?
私のことを心配してくれた様子はない。
「あのね、お母さん。私今友達の家にいて……」
『あら、あなた家にいなかったの?部屋にいると思ってたけど』
あぁ、そっか……
家にいないことにすら気づかなかったんだ……
「うん。それでしばらく友達の家に泊まりたいと思ってるんだけど、いいかな?」
『そう。分かったわ。その友達に迷惑をかけないようにね。用はそれだけ?』
「……お母さん、今日何の日か分かる?」
お母さんの言葉を無視して聞いてみた。
少しだけ期待しながら。



