愛されたいと願って



水島さんのお陰で言い争いが止まった。


「そういえば、茉夜って今日が誕生日なんだっけ?」


「へっ……」


急に聞かれて、間抜けな声が出てしまった。


「あ、はい。そうです」


理解すると、すぐさま肯定した。


「えっ、茉夜ちゃん今日誕生日なん?」


「うん」


「へ~、さよか!茉夜ちゃん、誕生日おめでとさん!」


「あ、ありがとう」


初めて言われたかもしれない……


誕生日おめでとうって。


こんなに嬉しいものなんだ……


「今日が誕生日なのか。悪いな、何も用意できねぇ」


「日住さん、誕生日おめでとう。ってか、何で誕生日のことは知ってるの?冷泉君」


「本人に聞いたからだけど」


「なら、その時に名前も聞けばよかったんじゃない?」


「忘れてたんだよ」