補導されたら、このことは親に報告される。
そして、家に帰される。
お母さん達がまだ帰ってきてない可能性もあるけど……
まだ帰りたくない。
「その子、俺の妹なんですよ。離してもらえませんか?」
急に背後から声が聞こえた。
振り返ると、いつの間にか人が立っていた。
その人の髪は銀髪で、月明かりに照らされてキラキラと輝いている。
何もかもが整っている上に、吸い込まれてしまいそうなほど綺麗なアメジスト色をした瞳。
耳につけている瞳と同じ色のピアスがキラッと光った。
凄く綺麗な人……
男の人に対する言葉ではなかったかもしれないけど、そう思った。
その人は笑顔でそこに立っていて。
ただ、その人は笑っているのに、笑っているように見えない。
まるで作り物のような笑顔だった。



