直月くんは、キケンな恋に沼りたい



「好きだったよ、直月のこと。でも直月と柚葉ちゃんの幸せを壊す悪女には、絶対になりたくない」


「……」


「だから直月も、必要がない時は私に話しかけないで。ラブラブを見せつけるとかも絶対にやめてよね。って、直月はそんなことしないってわかってるけど」



言えた、最後まで。

ずっと笑顔で。

泣かないで言い切った。


願いを吐き出せば、心の中がすっきりすると思ったのになぁ。

私の心の奥には、抜けない棘が刺さったままだ。


痛いよ、苦しいよ。


だから……教えて……



「一つだけ、聞いてもいいかな?」


「何?」


「なんで、彼女を作る気になったの?」



学生の間は、絶対に彼女は作らない。

直月は断言していたでしょ?

私を追い払うための、常とう句だった?