「……さっきの誰?」
「えっ?」
「この一週間、亜里沙が学校に来なかったのって。バイクの男の人と一緒にいたから?」
バイクの男?
あっ!
「ちっ…、違うよ! 学校まで送ってくれたのは、私のお兄ちゃん!」
「バイクにまたがって、サングラスかけてた人が?」
「バイクも髪色も服装も派手過ぎて、ヤバい人かと思った?」
「総長の東条先輩が優等生に見えるくらい、ヤバいって言うか……任侠とかそっち系の人かと……」
「アハハ~同感、同感。うちのお兄ちゃん、見た目がいかつすぎだよね。あれで男子高校生向けのファッションデザイナーなんだよ。雑誌に載っちゃうくらい大人気って。神様が才能を与える相手を、間違えたんじゃないのって思っちゃうよ」
「……悪い。亜里沙のお兄さんだって知らずに、見た目で勝手に判断した」
「いいよ、いいよ。毒々しい恰好をしてるお兄ちゃんが悪いんだから」



