「直月、まだ行かないで。これを見てよ」
「笹?」
「短冊とペンがあったから、私も願い事を書いて笹に結んだんだよ。これこれ!」
亜里沙の隣に立ち、視線を上げてみる。
フッ。
予想通りの願い事だな。
どれだけ僕のことが好きなんだか。
悪いけど、その願いは叶えてあげられない。
はぁぁぁと重い溜息と一緒に、僕は呆れ声をこぼす。
「亜里沙にそんなこと願われても、織姫も彦星も困るだろうなぁ」
「なんで?」
「絶対に無理な夢を叶えて欲しいって、迷惑なだけだろ?」
『直月と手をつないで、天の川を眺められますように』なんて。



