直月くんは、キケンな恋に沼りたい



「天井につきそうなくらい大きな笹だよ。美術室の前に、こんな立派な笹があるなんて知らなかったぁ。短冊もたくさん結んであるし」


「この前の昼の放送、聞いてなかったのか?」


「放送?」


「生徒会長の東条先輩が、七夕会の説明をしただろ?」


「昼の放送なんて基本スルーだよ。昼休みはバタバタしてたり、ベラベラ、ワイワイ、ボコボコしてたりするから」



ボコボコって……。

空手部が練習で使うサンドバックでも、叩きに行ってるわけ?



「擬音語選びがヘタすぎて、亜里沙の昼の様子が全く見えてこない」


「私がお昼休みに何してたかなんてさ、直月は興味ないでしょ? はい、もうこの話は終わり。 笹……うん、この笹サイコー! 願い事の短冊も、たくさん結ばれてるね」


「話し、そらしただろ?」