「カバンのチャック、半分開いてるぞ。……って」
「何?」
「学園に持ち込み禁止のものが、入ってるじゃないか!」
「わわわっ……、勝手に見ないでよ」
バックの中、ぐちゃぐちゃなのに。
「このヘアアイロン、学校には不要だな」
「必需品だよ。だって朝巻いた髪、放課後までもたないんだよ。帰るとき、私の髪がしおれたワカメみたいになっててもいいの?」
ヘニャヘニャだよ。
見苦しいよ。
「没収!」
はぁぁぁぁ……
やっぱり、そうなるよね。
「放課後までに返してよ。明日の朝、髪巻けないと学校休むからね。私に朝会えないと、直月は淋しくて目がウサギさんになっちゃうでしょ?」
「このゲーム機は?」
私の冗談、スルーかい。
……って、あれ?
ちょっとだけ、直月の頬が緩んでるような……
滅多に笑わない人だし、気のせいか。



