直月くんは、キケンな恋に沼りたい




とびきりの笑顔で手を振り、去っていった柚葉ちゃん。

彼女の背中を見つめる私は、溜息が止まらない。



ほんと、可愛い子だったなぁ。

背が小さくて、目が真ん丸で、黒髪ストレートで。

控えめな優等生のお姫様って感じ。


性格が良いってのは、見てわかった。

同性にも異性にも好かれる、おっとり系。


私の妹だったら、可愛すぎて甘やかしちゃってると思う。

そう思うけど……



心の中が、なんかモヤついちゃう。


取られたくないな……直月のこと……




「ねぇ直月、私のことも褒めてよ」


「褒められること、亜里沙は何かしたのか?」


「……うっ」



私には、相変わらずの毒舌かぁ。


そりゃ、髪は桜ピンクだし

ピアスやネックレスつけてきて、怒られちゃうことも多いけど


「毎日、高校に来てるよ。遅刻もしてない」


校門に立つ直月に、毎朝会いたいから。