直月くんは、キケンな恋に沼りたい



「ああ、おはよう」と答えた直月が、いつも通りのクールさで安心したけれど。


この子、声だけじゃなく、見た目も可愛すぎなんですけど!


恋のライバルが現れてしまったような焦りが、私の呼吸を荒くさせる。



背が低めな美少女が、サラ艶なストレート髪を耳にかけた。


清楚な優等生タイプ。

性格良さげなお姫様みたい。

全身を見回しても、ヤンキーチックな私とは正反対って感じの子。


顔つきが幼っぽいのに、私にはないものが揺れている。

ゆっさゆっさと。豊満な胸が。



……羨ましい。

私の胸なんて、まるでまな板。

ぺったんこなのに。




この子は高1だ。 

私たちの1こ下。

胸ポケットの刺繍が黄色なのが、その証拠。



直月の知り合いかな?

同じ弓道部の後輩だったりして。

こんな可愛い後輩に、直月が弓道を教えていたら嫌だなぁ。


とりあえず、二人を見守ろう。

気配を消しながら、そーっとそーっと後ずさり。