「僕は風紀委員だ。特別扱いはできない」
「でもさ……」
「委員会の仕事として、先生に渡したものだ。その後どうするかは、風紀委員は関与していない」
「そっかぁ……」
私のせいで、直月の内申点が下がったら申し訳ないし。
自分で何とかしなきゃダメだよね。
箱を取り戻したい理由は、中身をこの世から抹殺したいから。
今更、直月にあげられないし。
封を開けられ、誰かに中を見られちゃうのが一番怖い。
「私、今から先生のところに行ってくるから」
使命感に襲われ、私は直月に背を向ける。
走りだしたものの、私の足は数歩で動かなくなってしまった。
「あの……直月先輩。おっ、おおっ、おはようございます」
震えているような可愛い声が、いきなり私の耳に飛び込んできたから。
天使が現れた?
キュート声にハッとして、私は後ろを振り向く。
直月の前を陣取るように立つのは、制服姿の女子高生。



