「できた。絶対にほどくなよ」
またそれだ!と、私は胸キュンのため息を一つ。
「亜里沙のリボンを結ぶために、毎朝校門に立ってるわけじゃないからな」
目を吊り上げて、私を責めるその態度。
――オスっぽくて永遠に推せる。
凛々しい直月の顔に見とれながら、私は言いにくいことを口に出した。
「ねぇ、この前没収されたものだけど……」
「先生に言って、返してもらったんだろ?」
ヘアアイロンとゲーム機は、その日の帰りに私の元に戻ってきたんだけど……
「箱だけは、まだ職員室なんだ」
中身が何か言わなきゃ返せない!
頑固な生徒指導の先生に、問い詰められて。
そんなの、言えるわけないじゃん。
……恥ずかしすぎだし。
だからさ
「直月から先生に頼んでくれないかな? 箱を私に返すように」



