直月くんは、キケンな恋に沼りたい

  

「もう教室に行く時間だ」


涙をこらえて、顔に笑顔を張りつけなきゃ。

いつものハイテンションの陽キャでいなきゃ。


「一緒に教室に行こ」


「却下」


「好きなものを語り合いながら行こうよ。隣のクラスなんだから」


「職員室に寄って行く。じゃぁな」



えっ? 走り出した?


ヘアアイロンとゲーム機と、ラッピングされた小箱を抱えて。

嫌いな奴の前から、今すぐ逃げたい。

そう言いたげな不機嫌そうな顔で。



もう、直月の背中が見えなくなっちゃったし。



どれだけ足が速いの?

どれだけ私のことが嫌いなの?



はぁぁぁぁぁ……



私の恋が実る可能性、1パーセントってとこかな。


『僕は絶対に、亜里沙を好きにはならない』


自信満々に言われちゃったということは、もっと0に近いか。



初恋が叶う可能性……

0.001パーセントくらいは、あるといいけど……