直月くんは、キケンな恋に沼りたい



ハッと驚いて顔を上げる。


フードと乱れた髪で、私の顔も視界もほとんど隠れていたけれど。

しっかりと私の瞳が捕らえたんだ。



目にかかる髪の毛の、わずかな隙間から。


『妹を悲しませたくなかったんだよな?』


ふわっと笑った、彼の柔らかい表情を。




『あっ…、うん』



『泣かなくて、偉いじゃん』





……えっ?




嬉しかった。

必死に泣くのを我慢していた私を、偉いって褒めてくれて。



心臓がバクバクして、張り裂けそうだった。


『ご褒美をあげる』


更に表情を緩ませて、真っ白な歯が見えるくらい笑ってくれたから。




私の手に乗せられたもの。

それは……