そう言えば、廊下でお母さんが頭を下げていたっけ。 『あなたのおかげです。本当にありがとうございました』って。 一言でもいい。 私の口から、きちんとお礼が言いたい。 でも声なんか発したら、涙も一緒にこぼれちゃいそう。 あっ、男の子が見えなくなっちゃった。 早く追いかけないと。 お礼を言う機会がなくなっちゃう! お腹をつねり、激痛で涙を押し戻した私。 フードをかぶったまま、必死に男の子を追いかけた。 『あの、待ってください!』 足を止め振り向いた男の子に、深々と頭を下げる。