直月くんは、キケンな恋に沼りたい



涙をぬぐいながらうなずく穂乃果の頭を、私はお姉さんぶって撫でまくったけれど……

正直、しんどかった。

私だって、泣きたくて泣きたくてたまらなかった。


もしかしたら……

残酷な未来がやってきてしまったら……

怖くて、足の震えが止まらなかった。



涙がこらえきれなくなった私。

お母さんに穂乃果を託し、病室を出た。


悲しみで歪む顔、誰にも見られたくない。


フードと長い前髪で顔を隠しながら、廊下を歩いていると


権蔵寺(ごんぞうじ)(ふみ)さんのお孫さん』


看護婦さんに呼び止められた。




「今、自動ドアをくぐって病院の外に出た男の子、いるでしょ?」


「青っぽい髪の男の子ですか?」


「あの子がね、あなたのおばあさまを病院まで運んでくれたのよ」


「えっ?」


「最近できた人気のケーキ屋さんの前からって言ってたから、1キロ以上は背負いながら歩いてくれたんじゃないかしら」