「リボンを結んであげるから。亜里沙、黙って立ってて」
直月のだるそうな声に、キュンと跳ねた私の心臓。
胸まで伸びるピンクのウエーブ髪が、嬉しさでフワっと揺れてしまう。
可愛く髪を巻いといて、ほんとよかったぁ。
やっぱりヘアアイロン、必需品だよ。
「僕に面倒をかけないで」
直月はダルそうな表情。
私の白シャツの襟にリボンを通し、ちょうちょ結びをしてくれているんだけど……
ひぃえぇぇ……
距離が近すぎ。
直月の腕が私の背中に回ったら、抱きしめられちゃうくらいの至近距離だよ。
見上げたら、凛とした瞳と視線が絡んじゃいそうで……
かかとを上げたら、直月の唇を奪えちゃうわけで……
ダメだ……
顔……あげられない……
ドキドキで……心臓が壊れそう……
私はうつむき、彼への想いを心の奥に押しこんでいる。
いつもは「好き好き」言ってるくせに
キャパオーバーなキュンキュンに襲われた時には
黙り込んじゃうんだよなぁ……私。



