ゆっくんに、
『俺、〝姉〟とか思ったことないから』



そう言われて、
ショック過ぎて、まこぴの前で大泣きしたところまでは覚えてる。



だけど、その前の記憶は曖昧すぎる私。



なんなら、
どうやって家まで帰って来たかすら覚えていない。



ゆっくんが、
選手リレーで1位になったとき、
メダルを作ってかけてあげたいと思った。



子どもの頃みたいに、ゆっくんに、
〝1等賞〟をあげたい。



走ってる、ゆっくん、
かっこよかったよって言ってあげたい。



だからね、実は作ったんだよ、メダル.........



でも、私はダメダメだから。



運動神経が悪いから、
ゆっくんにとっては、恥ずかしい〝姉〟



ううん。



〝姉〟とすら思われていない。



もう、家族ですら、姉弟ですら、
いられないのかな........................?



私は、そう思って、
なぜか、まだ帰宅していない、
──────ゆっくんの部屋に足を踏み入れた。