夏休み前、事件は起きた。



それは、羽那が、
〝誰と〟夏祭りに行くかという事件。



例年は〝俺と〟行ってるけど。



今年はどうなるか分からなかった。



羽那が、『よぎくん』と呼ぶやつ。



そいつまで、羽那を誘っていやがった。



だから、
俺は焦ってたし、内心凄く不安だった。



もし、羽那が『よぎくん』を選んだら?



せっかく、両親がくれた2人の時間なのに。



それが無駄になることがあるかもしれない......



そういうことだ、
羽那が『よぎくん』を選ぶとそうなる。



不安だったけど、
俺は、下手なことも言えなかった。



──────来年の4月。



それは、長いようで、意外と短いから。



だから、羽那には、
〝俺〟を選んで欲しくて、神頼みだった。