『あのな、結都。俺の出張は本当だけど、
母さんと2人で行こうって決めたのは俺なんだ』



電話は再び、父さんに代わった。



「.........じゃあ、母さんは行かない予定だったわけ?」



俺が質問すると父さんは...........................



『あぁ。そうだよ。でも決めたのは俺だ。
結都と、羽那ちゃんには幸せになって欲しくて、気持ちを確かめあって欲しくて決めた。
そのためには、2人の時間が必要だと思った。
だから、結都。来年の4月、恋人同士になった2人に会えるのを楽しみにしてるぞ』



そう言って、俺が言葉を返す隙も与えず、
──────電話は切れた。



来年の4月まで、まだ結構ある。



その間に、夏休みも冬休みもある。



夏祭りとか、クリスマスとか、
〝羽那を独占〟出来るチャンスは沢山ある。



これは、俺と羽那に、
──────両親がくれた2人の時間だ。