陸の家へと勝手に行こうが、偶然会おうが、私が帰ると言えば、陸は必ず家まで送ってくれる。そして彼といる時は、遠回りの川沿いコースが多い。
「乃亜に会えてよかった。ゼリー届けにピンポンしようかと思ってた」
「電話くれればいいのに」
「電話は勇太が出る可能性があるだろっ。あれ以来、トラウマ」
陸はぶうっと頬を膨らませてみせた。
「あ、あの時はたまたま勇太君に携帯預けちゃっててっ。ごめんね、もうないから」
「絶対?」
「絶対っ」
重そうな袋を持つ手を肩に乗せて、陸は笑った。
「手術の日、決まったの?」
「決まった決まった、明日」
「おい明日かよ、報告しろよ。ゼリーこんなにいらなかったじゃん」
拗ねる陸の横顔の向こう、目を奪われるほど美しい赤に、足が自ずと立ち止まる。
「わあ、綺麗な夕陽……」
陸も足を止めて、それを見た。
「ほんとだ。真っ赤だな」
あの夕陽が沈めば、きっとすぐに明日はやって来る。ちょっと待ってはもうきかない、お腹の子とは、ばいばいだ。
「陸」
水平線が太陽のてっぺんを隠したその瞬間、私は陸の名を呼んだ。
「明日が終わって体調が戻ったら、陸の家に行ってもいい?おばさんと楓にもお礼を言いたい」
陸は「今更?」と前置きをしてから言葉を続けた。
「うちに来るのに許可とかいる?お礼もべつにいらんし。乃亜は家族同然じゃん」
ふふっと私が微笑めば、陸も小さく笑みを溢す。
「乃亜に会えてよかった。ゼリー届けにピンポンしようかと思ってた」
「電話くれればいいのに」
「電話は勇太が出る可能性があるだろっ。あれ以来、トラウマ」
陸はぶうっと頬を膨らませてみせた。
「あ、あの時はたまたま勇太君に携帯預けちゃっててっ。ごめんね、もうないから」
「絶対?」
「絶対っ」
重そうな袋を持つ手を肩に乗せて、陸は笑った。
「手術の日、決まったの?」
「決まった決まった、明日」
「おい明日かよ、報告しろよ。ゼリーこんなにいらなかったじゃん」
拗ねる陸の横顔の向こう、目を奪われるほど美しい赤に、足が自ずと立ち止まる。
「わあ、綺麗な夕陽……」
陸も足を止めて、それを見た。
「ほんとだ。真っ赤だな」
あの夕陽が沈めば、きっとすぐに明日はやって来る。ちょっと待ってはもうきかない、お腹の子とは、ばいばいだ。
「陸」
水平線が太陽のてっぺんを隠したその瞬間、私は陸の名を呼んだ。
「明日が終わって体調が戻ったら、陸の家に行ってもいい?おばさんと楓にもお礼を言いたい」
陸は「今更?」と前置きをしてから言葉を続けた。
「うちに来るのに許可とかいる?お礼もべつにいらんし。乃亜は家族同然じゃん」
ふふっと私が微笑めば、陸も小さく笑みを溢す。



