目と鼻の先にある陸の顔に、私はまた聞く。
「何するの、私達……」
長い間幼馴染をしている私達の顔が、こんなにも近付いたことはない。
「乃亜と勇太がしたこと」
ようやく口を開けた陸はそう言うと、自身の唇を私の唇に押しあてた。熱を帯びた手が背中に回されて、ピリリと電流が走り抜ける。
抵抗などする気もないくせに、私は言葉だけで嫌がる素振りを見せた。
「やめて陸っ。こんなのおかしいっ」
頬も耳朶もその唇で愛でられて、過敏に反応する体。
「陸、ダメだよっ!」
私のその声で、陸は潤んだ瞳をこちらに向けた。
「なんで……勇太なの?」
心から傷付いた顔だった。
「なんで好きでもない勇太の告白はオッケーするのに、俺は何度告白してもフラれるの?俺のこと、そんなに嫌い?」
陸が瞬きをした途端、彼の目からひと粒の雫が落ちてきて、私の頬にぽたんとかかる。
「それなのに、なんでっ……」
二粒、三粒。四粒目で、陸は大きく息を吸った。
「なんで騎馬戦の時、アイツのことを応援しねえで、俺を応援するんだよっ!」
陸を追い詰めたいわけではないのに、どうして彼の笑顔を損なうことばかり、私はしてしまうのだろう。
「もうお前まじで意味わかんねえ!捨てるなら捨てろよ、俺のこと!」
陸には側で笑っていて欲しい。ただそれだけなのに。
震えたふたつの唇が、今度はゆっくり重なった。頬を伝う陸の涙がしょっぱくて、彼の悲しみが私の中にも入っていく。
今にも飛びそうな意識の中、耳の底で陸の吐息を聞いていた。
「乃亜」
瞳をぎゅうと閉じれば名を呼ばれ、瞼を開けて、目が合って。愛おしさが募る。
「何するの、私達……」
長い間幼馴染をしている私達の顔が、こんなにも近付いたことはない。
「乃亜と勇太がしたこと」
ようやく口を開けた陸はそう言うと、自身の唇を私の唇に押しあてた。熱を帯びた手が背中に回されて、ピリリと電流が走り抜ける。
抵抗などする気もないくせに、私は言葉だけで嫌がる素振りを見せた。
「やめて陸っ。こんなのおかしいっ」
頬も耳朶もその唇で愛でられて、過敏に反応する体。
「陸、ダメだよっ!」
私のその声で、陸は潤んだ瞳をこちらに向けた。
「なんで……勇太なの?」
心から傷付いた顔だった。
「なんで好きでもない勇太の告白はオッケーするのに、俺は何度告白してもフラれるの?俺のこと、そんなに嫌い?」
陸が瞬きをした途端、彼の目からひと粒の雫が落ちてきて、私の頬にぽたんとかかる。
「それなのに、なんでっ……」
二粒、三粒。四粒目で、陸は大きく息を吸った。
「なんで騎馬戦の時、アイツのことを応援しねえで、俺を応援するんだよっ!」
陸を追い詰めたいわけではないのに、どうして彼の笑顔を損なうことばかり、私はしてしまうのだろう。
「もうお前まじで意味わかんねえ!捨てるなら捨てろよ、俺のこと!」
陸には側で笑っていて欲しい。ただそれだけなのに。
震えたふたつの唇が、今度はゆっくり重なった。頬を伝う陸の涙がしょっぱくて、彼の悲しみが私の中にも入っていく。
今にも飛びそうな意識の中、耳の底で陸の吐息を聞いていた。
「乃亜」
瞳をぎゅうと閉じれば名を呼ばれ、瞼を開けて、目が合って。愛おしさが募る。



