動けず帰れず、座り込んだままでいると、陸の強い声が降ってきた。
「行くぞ」
手を引っ張り、私の体を起こす彼。そして足早に進んで行く。
「え、行くってどこに……」
「俺んち」
目も見ずに答えた陸の手に握られた、小さな茶色い紙袋。まさか、と思う。
「何、買ったの……?」
陸は無視して歩き続ける。今すぐ足を止めたいのに、彼の引力は強い。
「ねえ陸っ。何買ったの!」
「ゴム」
たったのその二文字が、これから私達がする行為を予感させてしまう。
「陸なんで……」
何を問えど、陸は一切答えなかった。
ガチャガチャと鍵を開ける陸の背中にもう一度聞いた。
「陸、落ち着いて?何する気……?」
玄関へ強引に引き込まれると、扉はすぐに音を立てて閉まった。薄暗い静かな家は、いつもの陸の家ではないみたいだった。
無言のままの陸は私を自身の部屋へと導いて、ベッドに座らせる。紙袋を枕元へ放ると、私に覆いかぶさるかたちで一緒にシーツへと倒れていった。
「行くぞ」
手を引っ張り、私の体を起こす彼。そして足早に進んで行く。
「え、行くってどこに……」
「俺んち」
目も見ずに答えた陸の手に握られた、小さな茶色い紙袋。まさか、と思う。
「何、買ったの……?」
陸は無視して歩き続ける。今すぐ足を止めたいのに、彼の引力は強い。
「ねえ陸っ。何買ったの!」
「ゴム」
たったのその二文字が、これから私達がする行為を予感させてしまう。
「陸なんで……」
何を問えど、陸は一切答えなかった。
ガチャガチャと鍵を開ける陸の背中にもう一度聞いた。
「陸、落ち着いて?何する気……?」
玄関へ強引に引き込まれると、扉はすぐに音を立てて閉まった。薄暗い静かな家は、いつもの陸の家ではないみたいだった。
無言のままの陸は私を自身の部屋へと導いて、ベッドに座らせる。紙袋を枕元へ放ると、私に覆いかぶさるかたちで一緒にシーツへと倒れていった。



