翌日。首に絆創膏を貼り付け登校した私に、凛花は言った。
「何それ」
「ね、猫に引っ掻かれた」
「乃亜んち、猫なんか飼ってないじゃん」
今日の一限目は体育の授業。肩までつく髪の毛は纏めなさいと、普段から口酸っぱく言う先生が担当だ。
「髪の毛結びたくない」
「乃亜のそんな長い髪そのままにしたら、ハサミで切られるよ?」
「ジャージ、着ようかな……」
「それは暑いよまだ。今日は学年全体の体育祭練習だから、二時間は校庭だってば」
昨日の自分を咎めるだけで、今この瞬間の解決策は見出せない。
「乃亜、おはよう」
校庭での各自ストレッチ中、勇太君は私の元へ来た。昨日のようなことがあった次の日は、彼の目を直視するのも難しい。
「お、おはよ」
「あれ。乃亜、絆創膏貼ったの?」
指でそっとそこに触れられて、思わず後ずさる。
「ゆ、勇太君は貼らないの?」
パッと見ただけでもわかってしまう、彼の耳のすぐ真下。
「俺?俺はこのまんま」
「私、絆創膏まだ持ってるからあげようか?」
「なんでよ、言ったじゃん。俺は見えるとこがいいんだって。だからこれで、いーのっ」
これではまるで「私達ヤリマシタ」だ。
周りの視線が気になってしまう。女子から人気がある彼とは並んで歩くだけで、こそこそと後ろ指をさされているのも知っている。彼はどうしてこんなにも、私が自身の彼女だと周りに知らせたいのだろう。一体誰に、知らしめたい?
そんな私の胸中とは裏腹に、彼はひとり、上機嫌。
「じゃあまた後で。女子の演技練習、頑張って」
笑顔の彼に私も同じ顔を作って、女子の練習に交ざった。
「何それ」
「ね、猫に引っ掻かれた」
「乃亜んち、猫なんか飼ってないじゃん」
今日の一限目は体育の授業。肩までつく髪の毛は纏めなさいと、普段から口酸っぱく言う先生が担当だ。
「髪の毛結びたくない」
「乃亜のそんな長い髪そのままにしたら、ハサミで切られるよ?」
「ジャージ、着ようかな……」
「それは暑いよまだ。今日は学年全体の体育祭練習だから、二時間は校庭だってば」
昨日の自分を咎めるだけで、今この瞬間の解決策は見出せない。
「乃亜、おはよう」
校庭での各自ストレッチ中、勇太君は私の元へ来た。昨日のようなことがあった次の日は、彼の目を直視するのも難しい。
「お、おはよ」
「あれ。乃亜、絆創膏貼ったの?」
指でそっとそこに触れられて、思わず後ずさる。
「ゆ、勇太君は貼らないの?」
パッと見ただけでもわかってしまう、彼の耳のすぐ真下。
「俺?俺はこのまんま」
「私、絆創膏まだ持ってるからあげようか?」
「なんでよ、言ったじゃん。俺は見えるとこがいいんだって。だからこれで、いーのっ」
これではまるで「私達ヤリマシタ」だ。
周りの視線が気になってしまう。女子から人気がある彼とは並んで歩くだけで、こそこそと後ろ指をさされているのも知っている。彼はどうしてこんなにも、私が自身の彼女だと周りに知らせたいのだろう。一体誰に、知らしめたい?
そんな私の胸中とは裏腹に、彼はひとり、上機嫌。
「じゃあまた後で。女子の演技練習、頑張って」
笑顔の彼に私も同じ顔を作って、女子の練習に交ざった。



