【完結】鍵をかけた君との恋

 いつものコンビニで、今宵の飯を選ぶ。パンやおにぎりをカゴに入れ、最後に寄るのは菓子コーナー。ひとつに目標を定めると、棚へと手を伸ばす。

「あ、すみませんっ」

 ふいにその手とぶつかった手の持ち主に頭を下げると、そこには陸がいた。

「のーあっ。何やってんの?」

 耳から耳まで白い歯を見せて戯ける彼に、教室で抱えた不安が一気に失せた。

 私のカゴに目を落とした陸は、目を丸くさせてこう言った。

「うっわ、もしかして晩飯?しけたもん食ってんなあー。栄養にならんぞ」
「か、勝手に見ないでよっ。そしてそのチョコ、買いたいから返してっ」

 陸の手には、先ほど私が狙いを定めた菓子箱が握られていた。彼は「これか?」と嫌味たらしくそれを揺り動かす。

「俺も食いたいからやだ」
「はあ!?最後の一個じゃん!返してっ」
「やだねー」

 ヘソを曲げる私などお構いなし。陸はスタスタとレジへ進んだ。