それから一時間ほどゲームを楽しんで、表へ出た。

「前の方歩いてるの、陸と凛花だな」

 私達の数十メートル前方、外灯に照らされながら並び歩くふたり。凛花の腕にはぬいぐるみが抱えられていた。

「陸の奴、結局取ってやったんだ。なんだかんだで優しいんだよなあ、そういうとこ」

 以前は三回挑んで無理だった。ならば今日は何度挑戦してあげたのだろうと思えばもう、悲嘆に暮れた。涙のバケツがものの見事にひっくり返り、そこら中を濡らしていく。

「おい乃亜!」

 突として膝から崩れ落ちた私に、森君は狼狽えていた。

「おいおい、どうしたんだよ!」

 なんでもないよと言いたいのに、バケツの中身があまりに多く、息をするのも困難だ。

 私の名を叫ぶ森君の声に気付き、陸が振り返り見たことは、後日森君から聞かされた。