別れ際に陸は言った。

「明日帰ってきたら、乃亜にメールするよ。その方が安心だろ?」

 恋人でもない私がそんなことを、望んでもいいのだろうか。視線を地面に落とす。

「二次会、陸が行きたかったら行っていいんだよっ」
「行ったらまた、ご機嫌ナナメだべ」

 陸は全てを見透かしてくる。私が彼に何をして欲しくて何をして欲しくないのか、知っている。
 黙り込む私に、彼は続けた。

「俺、明後日はバイトで朝早いんだよ。二次会行かないのはそれが理由。乃亜が気にすることじゃない」

 ほら。このままだと私がこの後、後ろめたさでいっぱいになることもお見通しだ。

「じゃ、じゃあ。メール待ってる」

 その返事に、陸はにこっと微笑んだ。

 決して手に入らぬ魚とこんな近距離で過ごすこと、陸は辛くないのだろうか。