【完結】鍵をかけた君との恋

 桃色の御守りに書いてある神社名を頼りに、私は隣町へと来た。手にすっぽり隠れるほどの小さな御守りに、小さな鈴。チリンと最後に鳴らしてみた。

「ではこちらで、大事に納めさせていただきます」

 ネットで調べた御守りの返納方法。専用ボックスが備え付けられているところも多いらしいけれど、それ以外は直接、社務所に持って行けばいいらしい。

 ズラリと並んだ願掛けグッズ。ここで悩み選んでくれた、勇太君の姿が目に浮かぶ。

 空が赤くなる。今朝から破裂しそうだった心臓も、今は穏やかだ。いつか大人になって中学生活を振り返る時、ここで見た茜色を、私は鮮明に思い出すのだろう。