「さっ。勉強しよ、べんきょー」
昼ご飯を食べ終えて、楓が友人と出かけた頃。鞄に潜めていた単語帳を取り出した私に、陸は嫌な顔をした。
「うげ。土曜の昼から勉強すんの?」
「そうだよ。そろそろ本気出さないと、塾も行ってない私達はまじで高校落ちるよ?」
渋々机に向かい、参考書を広げる陸。
「勉強なんか、優等生の恋人とやれよ」
意地が悪いその発言には、聞こえないふりをした。話題を少しだけ逸らす。
「陸はどこの高校狙ってるの?」
「俺?俺は今のとこ、妙海高校」
「え。それって凛花と一緒じゃん」
「そうなん?」
「えー、いいなあ!凛花と一緒ずるーい!」
「知らねえよそんなの。それなら乃亜も妙海にすりゃあいいじゃん」
「無理。頭いいじゃんあそこ」
「そうか?俺はギリギリ行けると踏んでいる」
いいなと妬むと同時に、不安を抱く。
「私と陸はさ、高校行ったらあまり会えなくなるのかな」
保育園から中学まで、ずっと同じ場所に通っていた私達が、初めて離れることへの不安。
一気に気持ちが沈んだ私に対し、陸は伸びをし、けろりと言った。
「俺が何かしら理由つけて乃亜に会いに行くから、会えるっしょ」
「え……」
「会いたい時は、俺が会いに行く」
顔がぼっと熱くなる。電気ケトルで沸かされた湯のように、一瞬にして温度が上がった。
そんな私を前に、陸も恥ずかしくなったのか、彼の耳は赤くなる。
「そ、そんなことより、勉強するんじゃなかったのかよっ。ほら、やるぞっ!」
そういうところが、愛しいと思う。
陸の赤い耳は、私のお気に入り。
昼ご飯を食べ終えて、楓が友人と出かけた頃。鞄に潜めていた単語帳を取り出した私に、陸は嫌な顔をした。
「うげ。土曜の昼から勉強すんの?」
「そうだよ。そろそろ本気出さないと、塾も行ってない私達はまじで高校落ちるよ?」
渋々机に向かい、参考書を広げる陸。
「勉強なんか、優等生の恋人とやれよ」
意地が悪いその発言には、聞こえないふりをした。話題を少しだけ逸らす。
「陸はどこの高校狙ってるの?」
「俺?俺は今のとこ、妙海高校」
「え。それって凛花と一緒じゃん」
「そうなん?」
「えー、いいなあ!凛花と一緒ずるーい!」
「知らねえよそんなの。それなら乃亜も妙海にすりゃあいいじゃん」
「無理。頭いいじゃんあそこ」
「そうか?俺はギリギリ行けると踏んでいる」
いいなと妬むと同時に、不安を抱く。
「私と陸はさ、高校行ったらあまり会えなくなるのかな」
保育園から中学まで、ずっと同じ場所に通っていた私達が、初めて離れることへの不安。
一気に気持ちが沈んだ私に対し、陸は伸びをし、けろりと言った。
「俺が何かしら理由つけて乃亜に会いに行くから、会えるっしょ」
「え……」
「会いたい時は、俺が会いに行く」
顔がぼっと熱くなる。電気ケトルで沸かされた湯のように、一瞬にして温度が上がった。
そんな私を前に、陸も恥ずかしくなったのか、彼の耳は赤くなる。
「そ、そんなことより、勉強するんじゃなかったのかよっ。ほら、やるぞっ!」
そういうところが、愛しいと思う。
陸の赤い耳は、私のお気に入り。



