乃亜と勇太が別れたら、俺、お前に告白していい?もちろん、ゲームじゃないやつ。

 そう言った陸には伝えなければいけないと思い、その日の夜に、私は彼を呼び出した。

「どれだけしつこいんだよ、勇太の奴」

 公園ベンチの笠木に両腕を預け、陸は不快を露わにした。

「というか普通、オッケーするか?乃亜もどれだけお人好しだよ」

 言い訳も弁解もない私は陸の隣、彼の「もう帰ろうか」をひたすら待つ。寒いくらいの夜なのに、公園にはカップルが多かった。

 事実を告げただけで無言を貫く私との間を突として詰めた陸は、人目憚らずにキスをした。唇を微かに開けて、彼の温もりを受け入れる。ゆっくりとその唇を外した陸は、こう言った。

「また、拒否しないのな」

 理解し難い私の行動に、彼の目がつり上がる。

「なんなのお前。俺の気持ち知ってて勇太と付き合って、別れるって言ったのにまた付き合って、だけど俺のキスは受け入れる。何がしたいの?」

 頭を抱えた陸は、地に目を落として溜め息を吐いた。

「俺のこと、嫌い……?」

 陸の丸まった背中に答えを投げる。

「嫌いじゃない」
「勇太が好きなの?」
「好きじゃない」
「じゃあ──」

 ザワッと嫌な風が吹く。それが皮膚より外なのか内なのかは、わからなかった。

「俺のこと、好き?」

 ほらまた、ザワッと。