「なんだよ、その目」


「翼お兄ちゃんが倒れたのって、夜桜先輩のせいなんですか?」


「だとしたら俺を恨むか?」


「いいえ」


「どうしてだ?」


「翼お兄ちゃんは夜桜先輩のことを親友だって言ってました。優しい人だって。翼お兄ちゃんが望んだことなら私は何もいいません」


「そうか。いきなり殴りかかってきたら、こっちも困るしな」


「そ、そんなことしません!」


本当はちょっとだけムカつく!って思った。


けど、よく考えてみれば違うことくらい私にはわかる。翼お兄ちゃんが私に嘘をつくはずないから。


「俺が毎日、翼の血を吸ったから翼があんなことになったとお前は言ったよな」


「そうです」


「だったら俺が舐めたお前の右手を見てみろ」


「それって私のケガしたとこですか?
え、うそでしょ…」


たしかに、さっきまでは右手に噛み跡があった。血だって流れていたのに。


なのに、今は綺麗さっぱりなくなってる。