ワケありベビーと純真ママを一途な御曹司は溢れる深愛で離さない~君のすべてを愛してる~

昴の肉じゃがは、今まで食べたどれよりも美味しかった。
大きいのにジャガイモはほくほくで、味がよく染み込んでいる。レシピを見ながら料理したからと謙遜していたが、やっぱりなにをやらせても器用だ。でも、技術だけではないのかもしれない。

昴が、自分たちの為に作ってくれたという愛情が、よりいっそう味を引き立たせていたのかも。
食後にはデザートも用意されていた。

桜杜百貨店の広告を見て、食べたいなと一言漏らしただけのプリン。プリンフェスタのイベントは期間限定。さらにその中の人気プリンは数量限定で、朝一で売り切れてしまうほどのなかなか買えない銘柄だ。
昴はそれと他にもいくつかの味を買い揃えてくれていた。

三種類の味を三人で分け合った。歩那には少しだけ与えてみたのだが、とろけるような甘さに大興奮だった。

お風呂も急いで入らなくてはと思っていたが、タイマーで準備してあって、おむつ、ドライヤー、歯磨きと順調に終えることが出来た。
普段より帰宅が遅かったのに、ベッドに入れた時間はいつもと同じになった。

「ふぅ……」

軽く絵本を読み歩那の寝かしつけを終えると、時計の針は十時前を指していた。歩那を起こさないようにベッドをそっと抜け、リビングに戻る。

「お疲れ様。忙しかったね」

すると、丁度、お風呂からでた昴もリビングに戻った。

外で見る彼もシャキッとしていて格好いいが、パジャマでリラックスした姿も色気があっていい。湯気の上がる肌に毎日のように視線を奪われる。

案外自分は破廉恥な人間だったようで、内心頭をかいた。
昴はソファに座ると体をほぐす様に伸びをした。

「昴さんもお疲れ様です。たくさん助けていただいてありがとうございました。お茶をいれましょうか?」

昴が自分の隣、開いているスペースを手のひらで叩いた。

「お茶より花蓮かな。おいで」

「失礼しますね……」

花蓮は恥じらいながらもそっと隣に座った。

(緊張するな……)

座るとすぐに抱きしめられる。

まだ火照っている体。布一枚の向こうに鍛えられた筋肉を感じる。
互いの体温を味わうようにしばらく抱き合った。

トクントクンと心音が重なり、全身が揺蕩うようにリラックスした。
うっとりともたれかかっていると、昴は燻る熱をはき出すようなため息をする。

「あ、ごめんなさい。重かったですね」

「いや、そうじゃなくて……」

離れようとすると、昴は腰を抱いてそれを阻止した。
なんだか様子がおかしい。どうしたんだろう。

「あー……」

昴はうなじを撫でながら言葉を探す。

「ちょっと、欲情しちゃって」

向けられた視線が急に熱を帯びた気がして、凪いでいた心が大荒れとなる。