昴は花蓮と自分の分のお茶を用意しソファに落ち着くと、ぽつりぽつりと話し始めた。
「初めて花蓮と出会った頃、君はまだ中等部だったね。当時18歳だった俺にとってその年齢差は大きなもので、子供の君が婚約者だなんてとんでもないと思った。でも当時、恋愛に興味のなかった俺は、告白してくる人が減るならそれも良いかと思って承諾したんだ。
ほかにも、早間側の話をむやみにできないという理由もあったし、いずれは親の会社を継ぐという意識も持っていたから、会社間の事情もそれなりに理解していた。
最初は、暫くして、桜杜の会社に影響がでない程度になったら断ればいいと思っていたんだよ。
でもその考えは、君と付き合ううちに徐々に変わっていった。花蓮が高校生になったころから俺たちは会う頻度が増えたね」
過去をなぞる昴に、花蓮も思い出し頷く。
「花蓮は成長とともにどんどんきれいになるし、気遣いができて傲慢さがなくて、それでいていつも俺を応援し信頼を寄せてくれていた。俺はそんな花蓮の健気なところにどんどん惹かれた。
慕われて素直に嬉しかった。
それまでビジネスライクだった関係を変えたくなった。
俺が幸せにしなくてはと決意したのは、花蓮が家のことを話してくれた時だ。いつも感情をださなかった君が、泣きながら家で過ごすのが辛いと零した。
俺は恥ずかしながら、香さんが実の母親ではないこと、そのせいで肩身の狭い思いをしていて、寂しい日々を送っていたことを、その時はじめて知ったんだ。辛そうにする花蓮をどうにかしてやりたくなった。この子を守ってやり幸せにするのは俺しかいないと思ったんだよ」
たしかにそれ以降、昴と会う回数が増えた。
家で過ごすのがつらいと話したから、その時は気を遣ってくれたのだと思っていた。
「何よりも早く君をあの家から救い出すには、『今』を犠牲にしなくてはと思っていたんだ。だから俺は業績拡大にだけ注力し、実現したら花蓮を迎えにいくつもりだった。……信じられない?」
昴が誠実な性格なのはわかっている。
「初めて花蓮と出会った頃、君はまだ中等部だったね。当時18歳だった俺にとってその年齢差は大きなもので、子供の君が婚約者だなんてとんでもないと思った。でも当時、恋愛に興味のなかった俺は、告白してくる人が減るならそれも良いかと思って承諾したんだ。
ほかにも、早間側の話をむやみにできないという理由もあったし、いずれは親の会社を継ぐという意識も持っていたから、会社間の事情もそれなりに理解していた。
最初は、暫くして、桜杜の会社に影響がでない程度になったら断ればいいと思っていたんだよ。
でもその考えは、君と付き合ううちに徐々に変わっていった。花蓮が高校生になったころから俺たちは会う頻度が増えたね」
過去をなぞる昴に、花蓮も思い出し頷く。
「花蓮は成長とともにどんどんきれいになるし、気遣いができて傲慢さがなくて、それでいていつも俺を応援し信頼を寄せてくれていた。俺はそんな花蓮の健気なところにどんどん惹かれた。
慕われて素直に嬉しかった。
それまでビジネスライクだった関係を変えたくなった。
俺が幸せにしなくてはと決意したのは、花蓮が家のことを話してくれた時だ。いつも感情をださなかった君が、泣きながら家で過ごすのが辛いと零した。
俺は恥ずかしながら、香さんが実の母親ではないこと、そのせいで肩身の狭い思いをしていて、寂しい日々を送っていたことを、その時はじめて知ったんだ。辛そうにする花蓮をどうにかしてやりたくなった。この子を守ってやり幸せにするのは俺しかいないと思ったんだよ」
たしかにそれ以降、昴と会う回数が増えた。
家で過ごすのがつらいと話したから、その時は気を遣ってくれたのだと思っていた。
「何よりも早く君をあの家から救い出すには、『今』を犠牲にしなくてはと思っていたんだ。だから俺は業績拡大にだけ注力し、実現したら花蓮を迎えにいくつもりだった。……信じられない?」
昴が誠実な性格なのはわかっている。



