ワケありベビーと純真ママを一途な御曹司は溢れる深愛で離さない~君のすべてを愛してる~

リビング横の部屋はシアタールームとなる。
あまり使っていないらしく、掃除をしなくてはと言っていた。

転びそうになりながら歩く歩那を見守りながら、シアタールームを一緒に一回りした昴が戻ってきた。ゴールした歩那を抱きあげ膝にのせると、隣へ座る。

「あっちのお部屋もきれいにしたら、歩那の好きなうさぎさんの映画みような」

「うー! うしゃ」

「そう。映画館みたいに、ポップコーンも用意しようか。あ、歩那ってポップコーン食べれるの?」

ふと昴が聞いてくる。

「大丈夫、デビュー済みです。好きですよ」

「お、やったな。じゃあ一緒にポップコーン食べながらみようなー」

「ぽん! うしゃ! うー!」

にこにこと話す昴に、歩那は興奮して膝のうえで飛び跳ねて喜んだ。
好きでたまらない彼との生活は、家族ごっこだとしても幸せだ。

歩那を抱く昴を見ていると、その光景が愛おしすぎて涙がでてくる。
もっとこの時間を味わっていたいが、そろそろ話をしなくてはいけない。
躊躇する心を叱咤して、話を切り出した。

「昴さん、あの、たくさん助けていただいてありがとうございました。わたし明日アパートに帰ろうと思います……」

「――――は? え、なんで? いきなりどうしたの」

「腕の痛みも引いてきましたし、ずっとお世話になるわけにはいかないです」

「まだ完治していないだろ。無理はよくないよ。それに部屋も余っているわけだし、遠慮してほしくないな」

「でも……その」

ずっと気になっていたことを聞いてみる。不自然にならないように。あっけらかんと聞こえるように努めた。

「昴さん、お付き合いしている方いますよね? 学生時代から、ずっと好きだった方いたじゃないですか。やっとその人と結ばれたのに」

(わたしがいたら、迷惑になる)

誤解を招くのはもちろん、いくら本当にやましい事がないとしても、異性を住まわせていると知ったら気分が悪いだろう。