「6つも年下の女の子に易々と手をだせるか! 花蓮の母親は気難しいし、門限も厳しかったんだ! 明らかに格上の取引先のお嬢さんなんだぞ。関係を継続するには気を使うし、 それに……」

(それに、可愛くて清らかで……一点の曇りもない彼女を大切にしたかったんだ)

清らかな付き合いだったのは、昴自身が仕事で結果をだすまで、手を出さないと誓っていたという理由もある。

苛々とする気持ちを抑え込みながら、昴は久しぶりに見た花蓮の表情を思いだした。
驚いて息を飲む。次の瞬間には、微かに顔を赤らめて俯き目を麗わせていた。

(俺を恋しいと言わんばかりの顔をしておいて、駆け落ちして他の男の子供がいるだって?)

嫉妬で気が狂いそうだ。
目元が花蓮によく似た女の子だった。
子供がいることまでしっかり確認したのに、まだ現実を受け止めることが出来ない。

花蓮に愛されていたことは、気のせいなんかではなかったと思うのに、なぜこんなことになってしまったのだろう。

花蓮が突然姿を消したのは青天の霹靂。最初は自棄になり、次は落ちこむだけであったが、次第にに冷静になると、なにか事情があるのではと思い始めた。

花蓮の気持ち、それを聞くまで、諦めることなどできない。