「何で?」

「だって聖夜の隣だろ?あいつ外見が黒いのは黴菌が体中に回ってるんだぜ。そして触れるとその部分が腐るんだぜ」

「ふぅ~ん…。てかそんなの信じてるんだなんて馬鹿じゃないの?」

「なんだって…」

少年が勇之介を殴りかかろうとするが彼は平然としている。
架鶴夜がその場から逃げようとすると勇之介は架鶴夜の手を握り

「根拠も無い事言ってこいつを泣かしたらお前らを許さないから」

彼は架鶴夜を優しく抱きしめるが、架鶴夜は

「もう止めて」

そう言い払うと架鶴夜は隠れ場所に逃げる。
隠れ場所で一人泣いていると彼はその場所に来る

「怒ってる?」

「馬鹿…明日からもっと悪化するじゃないのよ」

「大丈夫。俺がお前を守るから」

「いい加減にして!!そんな簡単に…。ずっとこれからも私の事守れる訳じゃないのに一時的な優しさで余計な事しないで」

そう泣きながら架鶴夜はその場を去る。

「架鶴夜…」

架鶴夜は走って逃げてある川岸に来た。

「やっぱり…私は生まれるべきではなかったんだわ」

彼女は遺書を残し靴を並べると川の中へ進む。
勇之介が走って中に入り

「やめろ!!」

そう叫ぶと彼女を抱き締める。

「それは俺は一生お前を守る事は出来ないかも知れない。でもお前に生きて欲しいんだ。初めて会った時からお前の事が好きだ。」

「えっ…」

「だから一人で抱えこむな。俺が相談に乗る。それじゃ駄目か?」

「ありがとう。嬉しいよ。」

架鶴夜は泣きながら彼に抱き付く。
勇之介は一度天使の世界に戻り、大天使様に説明をし人間にして貰えるようにお願いすると大天使様は大きなため息をつき

「本当はいけないのですが止めても言う事聞かないでしょうし…。仕方ないですね。ただ人間になるともう天使になる事は出来ないが良いか?」

そう問い詰めるが、彼の意思は変わらなかった。

「解りました。君は人間界に行くと良い」

そう言うと勇之介は架鶴夜の元に戻りそれ以降天使界に戻る事は無かった。

END