何故置き勉とかしないのかと言うと教科書やノートを置くといたずら書きをされてしまうからである。
給食の時間も架鶴夜はお昼も一人だ。
普通は両隣や後ろの生徒と班になり皆で食べるのだが架鶴夜と席を付けると黴菌が移ると言う根拠の無い差別で一緒に食べてもらえないのだ。
架鶴夜は食欲不振になり給食が食べれなくなりいつも挨拶と共にご飯を元に戻し隠れ場所に行く。
隠れ場所は屋上と階段の境にある扉でいつもそこに逃げている。



音楽の時間。
今日はリコーダーのテストの日だった。
架鶴夜の番だが先生のピアノの演奏のみでリコーダーの音がしない。
先生は困ったように

「聖夜さん？どうしたんですか？」

架鶴夜はまさかと思いリコーダーの一部を解体するとティッシュが詰まっている。涙が出そうになるが堪えて笑顔で

「なんでもないです」

そう言うと走ってその場を去るといつもの隠れ場所に行くと崩れ落ち涙を流しながら

「もういやぁぁ」

そう叫ぶと架鶴夜の前に光が現れる。

「えっ」

「吃驚したかな？僕だよ勇之介だよ」

「なんでここに？」

唖然としながら聞くと彼はにこっと笑い

「僕はずっと君のそばに居たんだよ。君の望みは解ったよ。僕も明日からここに来るよ。」

そう言うと彼は消える。
架鶴夜は泣きながらただ消える少年を見ていることしか出来なかった。



そして架鶴夜はまた学校に行く。
勿論一人で…。

『また一人か…。私って馬鹿だわ。あれは彼が私に言った励まし。彼は人ではないし同じ学校に通う事なんて出来るわけないわ』

物思いにふけながら架鶴夜は毎日の日課をこなす。
朝のＨＲ。
先生がＨＲで連絡した後

「新しい生徒が転校してきた」

そう言い放つとクラスメイトはざわつく。
しかし架鶴夜は自分には関係ないと思いぼーと窓の外を見ていた。
いきなり架鶴夜に

「宜しくね。聖夜さん」

そう声を掛けられ振り返ると勇之介がいる。
架鶴夜は吃驚のあまり声が出ない。
休み時間になり、転校生の彼の周りにはクラスメイトが集まる。
その中の一人が何気なく勇之介の肩を叩き

「お前も転校早々大変だよな」