『お兄ちゃんへ昨日の夕飯美味しかったよ。那奈は今日生徒会があります。その後バイト行ってきます。お兄ちゃんは今日もお仕事かな?じゃあ元気に学校行ってきます。那奈より』

那奈はシャーペンを筆記用具にいれてバッグにしまい

「行ってきます」

と言い玄関の鍵を施錠し学校へ行った。



‐羽野 那奈(はの なな)。高2。幼い頃両親が二人の目の前で殺されてしまう。以来那奈は兄と二人で暮らしている。‐



那奈は教室に入り

「おはよう」

と言うとみんなも返事をする。
那奈が席に着きバックを置くと

「おはよー」

と前から聞き慣れた声が那奈は上を見上げると友達の真下 百合香(ましも ゆりか)がいる。

「おはよう百合。今日も寒いね。」

と話していると隣から

「おはよう」

と言われる。
那奈は隣を振り返り

「おはよう」

と挨拶するとそこには神野 勇璃(かみや ゆうり)君がいる。
二人はやばいと言う顔をすると案の定勇璃の前に女性が沢山現れる。
その後現れた女性が

「私達の勇璃君に気軽に声かけないで頂けます?」

と那奈と百合香を睨む。

「別に良いじゃん。隣同士なんだから挨拶くらいしたって」

と百合香が睨み返す。

「なんですって?このお方はあなた達とは格が違うのよ」

と掌で勇璃を指して言う。
そう何を隠そう彼はクールで格好良いと女性に人気で彼のファンクラブまでも存在するのであった。
そしてむちゃくちゃな事を言う彼女はそんなファンクラブを仕切る会長でお嬢様育ちの中堀 千恵美(なかほり ちえみ)と言う。

「もう百合も千恵もやめなよ。朝っぱらから」

と呆れながら二人の争いを止める那奈。
すると勇璃が

「どいて…。」

とファンクラブの方々を通り抜けると

「僕は二人に用があるんだ。悪いけどあっち行っててくれない?」

と黙々と言う。
鶴の一声とはまさにこう言う事なんだろう・・・。
ファンクラブの方々は

「そんなクールな勇璃君も素敵v」

と言いあっという間にみんな解散し残ったのは千恵美だけになる。
千恵美は

「覚えてらっしゃい」