君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 胸を撫で下ろしている私をよそに、男子学生は軽佻な口調で話し続けた。

「あーよかった、人妻だったら誘えないなと思ってたんだ。じゃ担当直入に。ね、今度ご飯どう?」
「え?」
「ぶっちゃけ、デートのお誘いだよ。前から君のことかわいいと思ってて、仲良くなりたかったんだ」

 わ、すごいストレート。
 これが大学生ってやつなんだなぁ、と妙に感心するけど、もちろんきっぱりと断らねば。

「ごめんなさい、勉強で忙しいので」

 と、食べかけの食器を片付けて立ち去ろうとする。

 けれども男子学生は引き下がらない。廊下まで私についてきた。

「ね、いいだろ? お茶だけでもさ、おごるからさ」
「ごめんなさい、うれしいですけれどお受けするわけには」
「じゃ、なんでもいいからアカウント教えてよ」
「っ……!」

 諦めないどころか、私の手を握ってきた。
 びくりとなって思わず立ち止まる私の視界に、不意に背の高い男性の姿が入った。

 目を見張る。

 聡一朗さんが私たちを見ていたから。